令和5年度とよはしの匠に認定され、12月25日に認定証授与式に出席してまいりました。
このような賞をいただき、とても嬉しく思います。親父もかつて認定された「とよはしの匠」になったことで、一歩、親父に近づけた気がします。しかしながら、喜び以上に感謝の気持ちでいっぱいです。

とよはしの匠とは、豊橋市のホームページによると

技術と技能の融合により、新しい産業を生みだし、地域産業を活性化するために制定されたもので、市内の事業所に勤務し、又は自ら事業を営む方の中から卓越した技能者を顕彰するものです。
これにより、技能者やその職業についての重要性を広く社会に知っていただくとともに、「ものづくり」の卓越した技能を継承し、未来を創る人材を育成することを目的としています。

「とよはしの匠」顕彰事業 https://www.city.toyohashi.lg.jp/7304.htm

とあります。

 振り返ってみると、本当に多くの方々に育てられてきたのだなと思います。親父のもとで大工としての修行を積んで大工の棟梁となりましたが、親父以外の方々にも育ててもらったんだと痛感します。現在、ながら・加藤建築の棟梁として若い衆の教育にあたっていますが、棟梁になった今でも、学ぶことに終わりはありません。大工や棟梁としての技術を学び続けることはもちろんですが、後進を育てることで自分が学んでいると日々感じます。

 最近は、豊橋大工組合の副組合長、愛知県建設組合連合の副会長を拝命していますが、こうした役職につき、経験を積む機会をいただいているのは先輩方のご配慮のおかげと思います。地元の大工や棟梁仲間をつないで地域のために活動することが、少し大きな視点で地域や自分たちの仕事を考えるきっかけになっています。ながら・加藤建築の若い衆のことだけでなく、地域の若い衆、後進の道を開く手伝いをしていかなければという気持ちになりました。

 とよはしの匠の認定は、自分の技術の高さのみならず、次の世代の育成に力を注いでいるかも選定基準になっていると聞いています。職業訓練指導員免許やものづくりマイスター認定を取得し、技能五輪大会の出場選手や工業高校、中学校での指導をしていることも評価していただけたのではないかと考えると、ありがたく身の引き締まる思いです。技術指導をした教え子が技能五輪大会全国大会で優勝したり入賞したりしており、自分のことのように嬉しいのですが、それが評価されたのかと思うと喜びもひとしおです。今後も、今以上に次の時代の担い手の育成、人づくりにまい進していきたいと思います。

 そして、後進の育成のみならず、自分自身の技術向上にもさらに励んでいきたいと思います。そうした努力し続ける姿、背中を若い衆に見せることも、先輩への恩返しになるのではないかと思うのです。

 大工の世界も分業化が進み、山に入って木を切り出すところから家を完成するところまですべてをできる大工や棟梁がいなくなっています。わたしもその経験はありますが、自信をもってすべてをやれると言い切るにはまだ経験が足りていないと感じます。豊橋で「山に入って木を切り出すところからすべてできる最後の棟梁」といわれるように努力して、その技術と経験を得たいと思います。