病気になってはじめてわかる健康のありがたさ

最近、ちょっと体調を崩して入院してしまった。1週間程度の入院だったけれど、体はしんどいし、仕事はできないし、お金もかかるし、なにかと大変だった。また、病院でしっかり見てもらうまで、自宅で待っているときの不安な気持ちも忘れられない。早く専門家に見てもらいたいと、どれだけ診療開始時間を心待ちにしたか……。ちょっとした不調に過ぎなかったにもかかわらず。健康のありがたさと日常の健康管理の重要性を、痛いほど感じた。

大きな病気になったときにいきなり知らない病院に飛び込むより、普段から自分の健康を気にかけてくれるお医者さんに相談して、納得のいく治療を受けたい。ホームドクター(かかりつけのお医者さん)なら、普段の自分を知ってくれているから、ちょっとした相談でも的確なアドバイスをくれる。そもそも、普段からかかりつけのお医者さんにちょっとした体調不良のときに相談していれば、大きな病気にもなりにくい。毎年の健康診断も欠かさず受けたい。

棟梁は家の健康を守るホームドクターという理由

普段、「棟梁は家の主治医、かかりつけのお医者さんです」と言っている。家は建てて終わりではなく、普段のメンテナンスをしっかりして、長く快適に住んでほしい。「ここに棚があるといいかも」というような住んでいての新しい要望もできるだけ叶えたい。「水回りの具合が悪いかもしれない」といったようなちょっとした問題でも、「あれ?」と思ったときに気軽に相談してほしい。小さな水漏れの段階で気づいて修理しておけば、少額・小規模の対応で問題は解決する。しかし、放っておくと、床下まで水が入り込んで土台が腐ってしまうなどで、大がかりな修理や工事が必要になってしまう。それは、その場しのぎの対応でも同じこと。しっかりした材料と技術で、都度、問題を根本解決しておくと、「大ごと」になりにくい。

長年、棟梁として家と向き合ってきた自分にとって、「普段からしっかり手入れして、ちょっとした問題が発生したときに、都度根本解決すること」の重要性はよくわかっている。ただ、その普段のメンテナンスには、少々のお金が掛かることも事実なので、お客様に説明するのが難しいなと思う。ただ、実際に、放っておいた結果として大規模な工事をせざるを得なくなるケースを見ていて、「普段のメンテナンスは、結局は、長期的に見ると節約になる」ということに確信を持つようになった。大規模な改修工事が必要になったお客様のお顔を見るのが本当にツライ。もう、お客様にこんな思いをさせたくない!

家の「かかりつけ」として、伝えること

普段、「私は家のかかりつけ。町のお医者さんみたいなものです」とよく言う。これは、「日常のメンテナンスをしていくお手伝いをするので、一緒に、ちょっとした不具合のうちに、きっちりと対応しましょう。結局は、長い目で見れば、それが『安く上がる』し、良い状態を長く保てるからです」ということをお伝えしたいのだ。

しかし、今回の入院で、自分の体に対してそれができていなかったなと、ちょっと恥ずかしい気持ちになった。普段お客様に伝えようとしていたことを、自分ができていなかった。今回は1週間程度の入院で済んだが、これがもっと大きな病気だったらと思うと、ゾっとする。命にかかわるような病気だったらと。

普段から言っている「棟梁は家の主治医、かかりつけ」という言葉が、自分の中で、もっと重要性を持つようになった。自分や家族も、家も、快適な状態がより長く維持できるようにしたい。それも、できるだけ無駄なお金を掛けないで。そのためには、毎日のメンテナンスが大切なんだ。そして、主治医を持つことも。

そして、家の「かかりつけ」をもつことやメンテナンスの大切さをお伝えすることも、家の「かかりつけ」の棟梁としての仕事のひとつかもしれないと、思うようになった。患者として、いつもお医者さんが言っていたことをきちんと理解していなかったことの反省として。お客様に伝わるように説明しないといけない。

専門のお医者さんに診てもらえるまでの不安な気持ちも、患者としてよくわかった。普段から、家のメンテナンスをさせてもらっているお客様には、「困ったらすぐに電話かLINEをして! できるだけすぐに対応するから」とお伝えしている。実際、土日でも行ける状況ならば、すぐに飛んで行って対応する。家の「かかりつけ」としては当然と思ってやっていたが、この対応、やっぱり重要だなと思う。そんな家の「かかりつけ」として、すぐに思い出してもらえる存在になりたいものだ。