ながら・加藤建築で建てる家には、無垢材をふんだんに使います。無垢材は、合板などとは違う風合いが魅力ですが、自然のものなので、ひとつひとつ違う顔を持っています。「まったく同じ無垢材」はありません。
家を建てるなかで、一番こだわりたくなるのが、客間としても使われる「床の間のある和室」です。床の間のほかに、仏壇や神棚がある場合もあります。この和室の天井は、なるべく色目や、正目が似ている材木を集めて、統一感を出せるようにします。
しかし、二階の寝室など、プライベートなスペースの壁や天井に使う無垢材は、仕入れてから何年も寝かせてある材木の中から、産地が似ていて、同じような色目のものを集めて使います。
材木には、赤身と白身(白太:しらた)があります。同じ丸太のなかに、赤い部分と、白い部分があるのです。そのため、どこを切り出すかで、材木の色目が変わってきます。赤身は、油の色が出ているために、赤褐色に見え、硬くて丈夫という性質があります。白身は、柔らかく、軽く、反りやすいという性質があります。(ただし、白身が強い材木もあります。種類や育った環境に寄って異なるのです。)
白身もしくは、赤身ばかりで材木を揃えると、どうしてもコストがかかってしまいます。そこで、客間やリビング以外の部屋では、赤身と白身を取り混ぜて使います。これを「源平(げんぺい)」と呼びます。源平は、僕個人としては、表情に味わいがあって素敵だと思うのですが、色目に統一感がないために、好き嫌いが分かれるところでもあります。ただし、この赤身と白身は、時が経てば、日焼けして、どちらも飴色になります。一年後には、どこが赤身だったのか、どこが白身だったのか、区別できなくなってしまうほどです。
新築当初は、個性的な表情、赤身と白身の組み合わせを楽しむ。時を経るにしたがって、徐々に馴染んで、飴色に変わってくる変化を楽しむ。「もとは他人だった人たちが、一つ屋根の下で暮らしていくうちに、離れがたい家族になっていく。」なんだか、そんな家族の歴史と似ていますね! 無垢の木の家で、そんな喜びを見つけていただければと思います。