最終追記:2020年05月12日更新

高気密・高断熱の弊害

シックハウス症候群が問題になった頃から室内の空気循環が必要なことが解明され、「高気密・高断熱」という言葉をあまり耳にしなくなりました。

過剰な高気密・高断熱の家では、室内は温室と同じ状態です。壁面内部・クロスの裏側がカビたり、ダニの温床になったり、ということがあります。ダニの死骸は、ハウスダストになります。また、化学物質を含んだ建材からは、ホルムアルデヒドが空気中に放出され、室内に充満することもあります。「高気密・高断熱」は、健康に暮らせる家として、必ずしも良いことばかりではないのです。

自然に近い空気環境を作ることの大切さが、知られてきました

実は建築法も、これをきっかけに改定されています。これは重要なことですし、当時は報道されてもいたのですが、最近は、一時の熱も冷め、報道されることも減ってきました。しかし、現在でも苦労されているかたがいらっしゃいます。忘れてはいけないことだと、棟梁の僕は感じます。

目指せ!風通しのよい住まい

【ながら・加藤建築】高気密・高断熱

ながら・加藤建築で昔からずっと推奨してきたのは自然の材料を使った「風通しのよい住まい」。自然の素材を使い、土壁はもちろん、床も呼吸できるようにして、大きな窓で風や光を取り入れ、循環させています。家も呼吸が大切です。日々のメンテナンスの一番のポイントは、やっぱり「換気」なのです。

戸車の具合が悪く、開きにくくなったガラス戸

虫が入ってくるからと、使われていない破れた網戸

必要な換気がきちんとできていない状態でしたら、まずはここから対処しなければなりません。

【ながら・加藤建築】高気密・高断熱

それともう一つ、

あまり「モノを置かない」こと。

昔の家が、今よりもきれいなのは、モノが少なかったからだと思います。どうしてもモノが多いと空気の循環が悪くなり、家を傷めてしまいます。埃も多くなりますし、掃除も大変です。埃が溜まれば、家にも住む人にも悪影響です。

【ながら・加藤建築】高気密・高断熱
【ながら・加藤建築】高気密・高断熱

ながら・加藤建築では、大きなクローゼットに備付収納をすすめることで、できるだけ家具を外に置かないようにオススメしています。クローゼットのなかに、ホームセンターなどにあるキャスター付きの衣装ケースを買ってきてうまく使えばいいと、お勧めしています。

ベッドで寝る習慣が定着してきたことで押し入れの必要がなくなり、クローゼットが好まれるようになりました。お年寄りは引き戸が使い慣れている方が多いのですが、若い方は折れ戸を好まれます。しかし、折れ戸は手前に折れてくるので、その分、スペースが必要になります。実際には折れ戸のクローゼットの前にはモノを置けないので、それだけ使える部屋のスペースが狭くなってしまうのです。実は、折れ戸のレールは、埃が溜まりやすいのです! だから、引き戸や襖がオススメなんです。土間や段差があることによるメリットや、障子や襖の気密性など、以前の記事『日本家屋は、快適で健康的!』にも記していますので参考に読んでみてくださいね。