景色

私たちの大切な地球を次の世代につないでいくため、「エコ」は避けて通れません。
ながら・加藤建築の棟梁も、自分の子どもや孫の世代、それからその次の世代に、この美しい自然を残してあげたいと願っています。

最近、住宅関係で「エコ」というと出てくるのが、「高気密」「高断熱」です。気密性が高く、断熱性がよい住宅は、冷暖房などを過度に使う必要がないので、エコになるという考え方です。

高気密・高断熱の家は、ヒトにやさしい?

たしかに、高気密・高断熱の家は、エネルギー効率から言うと、「エコ」でしょう。
しかし、高気密・高断熱を追求していくと、室内は温室と同じ状態になります。換気がうまく行われずに、ニオイがこもってしまう、結露が起きてしまう、ということにもなりかねません。また、ダニの問題も気になるところです。ダニの死骸は、ハウスダストとなります。化学物質を含んだ建材からは、ホルムアルデヒドが空気中に放出され、室内に留まってしまうこともあります。「高気密・高断熱」は、私たちヒトが健康に暮らせる家かという点において、疑問が残るところなのです。

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日本家屋は、高気密・高断熱なのか

すると気になるのが、日本家屋は、高気密・高断熱なのか、ということです。
結論から言ってしまうと、ながら加藤建築で建てる日本家屋は、いわゆる「高気密・高断熱の家」ではありません。

たとえば、ながら・加藤建築では、土壁(つちかべ)を使います。土壁は、最新の建材と比べると気密性・断熱性には劣ってしまいます。実験データなどの数字の上では、土壁には勝ち目がありません。

しかし、私たちは、数字のみで生きているのではありません。いくら数字の上でよい結果が出ていても、それが体感として感じられなければ意味がありません。大切な人が作ってくれた料理は、とくにおいしいですし、気の置けない仲間ととる食事は、この上ないご馳走になります。逆に、「数字の上ではよいものなのだけど……実際は……」では、ちょっと寂しいですよね。棟梁は、これは家でも同じだと考えます。自然の風がふんだんに取り込まれ、新鮮な空気が満ちた家は、住むと快適、蒸し暑さや芯から凍えるような寒さを感じにくくなります。

内装

実際、土壁は「気持ちの上で何となく快適」なだけではありません。たしかに気密性・断熱性には欠けますが、蓄熱性と調湿性に優れているので、調温性があるのです。蓄熱性とは、熱しにくく冷めにくいということ。調湿性とは、湿度が上がってジメジメしたときには余分な水分を吸収し、湿度が下がって乾燥したときにはその水分を放出して、湿度を調整することです。自然と調和した土壁はこうした力を秘めているので、自然の力を無駄にしない「エコ」な家だと思います。

最後にあるのは、技術

図面の上では、高気密・高断熱、だけど実際は……というのでは、悲しすぎますよね。実際に家を建てるのは、棟梁を始めとした大工や職人など、現場のスタッフです。「家」はとても大きいものですが、それは、細部の集合体です。ひとつひとつの造作物がていねいに寸分の狂いなく作られているかがキモになります。建付けが悪いドア、開けにくい窓、隙間風が入り込む扉……これでは高気密・高断熱も台無しです。
本来、日本家屋の造りは、隙間風につよいものです。ふすまや障子などの建具は、敷居の溝にしっかり建具がかみ合わさるように造られるものなので、とても気密性が高くなります。ながら・加藤建築の棟梁は、経験を積んだ大工として、こうした技術を余すところなく現場に注ぎ込んでいます。最近は、「洋風のウォークインクローゼットがほしい」というご要望をいただくことも増えてきましたが、そういった場合にも心配無用。日本の建具の技術を応用して、ウォークインクローゼットなども造ります。

手

日本家屋の実績

ながら・加藤建築の棟梁が大工になって30余年。ですが、日本家屋の歴史はそんなものはありません。日本の風土に調和して、長い間連綿と受け継がれてきた技術の結晶です。棟梁・大工・職人・施主様の試行錯誤の結果が日本家屋にあるといえます。日本家屋は、100年住宅とも言われます。きちんとメンテナンスすれば100年以上住むことができるのです。「100年以上住める家」って、本当の意味で「エコ」だと思いませんか?
最新の技術が日々開発されていますが、実際に数十年後を経て結果が確認されているものは多くありません。家を建てるというのは、施主様にとっては「一生に一度」という大切なものです。数十年後に、「やはり、思った通りだ。あのとき、こうしてよかった」と思っていただきたいと、願っています。

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