最終追記:2018年03月01日更新
「いっぽんもん」という言葉をご存知ですか?
継ぎ目のない、一本の材料のことです。
僕らのいる東三河地域の大工は、この「いっぽんもん」と言われる6m以上もの長い材料を使い、日本家屋を建てます。
木材屋さんから買ってきて、3年以上をかけてゆっくりしっかり時間をかけて乾かした材木はそれだけ長くても割れや歪みが少ないのです。
うちで寝てる子(乾かしている材木)なら
それが、確実に保証できる。
だから、うちでしっかり寝かせて、癖や状態を見るんです。実は地域によっては4mより長い材木は使わないと聞きます。
ながら・加藤建築のある東三河地域は、山の多い土地で地松が豊富で、そこら中にいっぱいあったので昔は、長い木を使っていたんですね。
いっぽんもんの木は折れにくい
三河の空っ風で鍛えられた「いっぽんもん」が
三河に合った日本家屋を作ります
繋いでしまうと、どうしても歪みに負担がかかります。その歪みをなるべく大きくしないようにと継ぎ手を細工する技術が発展してきたわけなのですがいっぽんものだと、継ぎ手を作る必要さえなくて、一番丈夫なわけです。
三河の空っ風は違うでな。
いっぽんでやると丈夫くなるでよ
と、東三河では、いっぽんもんにこだわってきました。
太平洋と伊勢湾に囲まれた渥美半島を含むこの三河の土地には、年中、強い風が吹いているんですね。
仕入れも大切な仕事
仕入れも大切な仕事。実際に材木店に出向き、担当者の話を聞きながら品定めをします。天井の上になって見えなくなってしまう小屋組み(隅梁)とはいえ、家の重要な個所に使う「地松」の買い付けは神経を使います。
訪れたのは新城にある「昭典木材株式会社」さんの貯木場。いろいろな木材がたくさん置かれています。「いっぽんもん」選びは棟梁のこだわりも入れつつ、希望を伝えて現場にあった木材を選んでいきます。
曲がりや太さはもちろん、それぞれある「いっぽんもん」のクセも見抜いていきます。実際に使う事を想定し、数年後どうなるかも予測して仕入れをします。この見極めこそ、木と対話すること、そして長年、大工として木と関わってきた棟梁だからできることです。
木の流通を知る問屋であるからこそ知っている情報を聞くことも、棟梁として重要な役割の一つ。今回は「地松」の他に「檜」も提案してもらいました。
木材を品定めしながら、希望をしっかりと伝えることが「いっぽんもん」を最大限に現場にいかすことができると考えています。
右と左の木材、どちらが木材としてよいかわかりますか?
年輪のつまり具合、赤身の具合などプレカットされた木材を扱っていてはそんな判断すらできない。木材店に来て、見て、希望を伝えて仕入れる。それがながら・加藤建築の信念であり、プライドです。
日本国内でも土地によって家の特徴も建て方も違います
地震や台風の歴史にも関係あります。 例えば、雪の深い石川県では、太平洋側の家に比べて、軒が深くなっている。
土地によって家の特徴も建て方も違うんですねぇ。常に土地の気候や、歴史と、建築は関係しています。
川縁には材木問屋があるし、大きなお城のあるところには、建築に関わる職人が多い。このあたりの話も調べ出すとキリがないのですが自分の土地について勉強すると面白いと思いますよ。