最終追記:2017年06月15日更新

【ながら加藤建築】先人の知恵

家大工(やだいく)による建築は、どうしても時間はかかります。年間2軒ほどしか手掛けられません。しかし、そのひとつひとつの工程において、大工の棟梁の長年の経験と知恵が、たっぷり盛り込まれています。材木の選び方、削り方、墨の付け方、組み方など、どれをとっても、数ヶ月でできるようになる技ではないんですよ!日本家屋の建築方法は、四季や気候など日本の風土に合ったものを、たくさんの臨床を重ねるなかで築いてきたものです。

そうなんです!大工仕事には、先人たちの
知恵と技術がいっぱい詰まっているのです!

日本の土地の7割が山林という恵まれた環境にも関わらず、家づくりに日本の木が使われにくいのは、非常に残念です。あ、この話については、また後日、ゆっくり熱く語りたいと思います(笑)。

削ろう会の話

大工はもちろん、家具職人、木工職人、大工道具を作る職人などが参加する鉋(かんな)での削り方の技をミクロの世界で競う「削ろう会」という会があるのを聞いたことありますか?
文字通り、鉋でどれだけ薄く幅広く長くきれいに削れるかを競う会で、名古屋から全国に広まりました。この鉋削りの技を伝承しようということで始まったイベントが「削ろう会」です。鉋(カンナ)で削る技術を競い合い技術ととのに、鉋を継承していきたいという想いもこめられています。今では一万人の会員がいるとも言われています。
ミクロの世界の競い合いは見ものですよ!

【ながら加藤建築】先人の知恵


ただ削ればいいのではなく、木目を読み、鉋の刃を砥ぎ、鉋台を調整して挑むんですが、この鉋台の調整が、また難しいんですよ。僕も12ミクロンという記録を出したことはありますが

何と、3ミクロンという記録を出した人もいます。

鉋屑を見せてもらいましたが、新聞が透けて見える薄さでした!どのぐらいすごいかと言われても、ちょっと、想像が難しいですよね?(笑)Web上にも動画がたくさんアップされています。「削ろう会」一度、ぜひご覧になってみてください。

ちなみに、僕らは親方(棟梁)からは

「ハエがすべって転ぶぐらいに削れ!」

と言われてきました。こうやって手の鉋で仕上げた木は、頬ずりできるほど、つるつるのピカピカです。本当に薄くきれいに削り上げた木の表面は、水滴を落とすと染み込まずに、転がるほどなめらかになるものなのです。このような大工のこだわりについて、時々お伝えしていきます。お楽しみに!