「建てる」と「買う」の分岐点
家は、買うものでしょうか、それとも建てるもの? あなたはどのように考えますか? 僕は、家は、「建てるもの」だと思います。しかし、一生に一度の買物にもかかわらず、家を「建てる」という感覚が日本の文化からなくなりつつあるのではないでしょうか。
現在の主流は、建売住宅、分譲住宅など。少し前まで、注文住宅、木造住宅、オーダーハウスとオリジナルが好まれた時期もありました。しかし、現在は、コストダウンされた今までの様々なノウハウを取り入れた機能的な住宅を買い、そこに自分たちのライフスタイルを収めていくのが一般的のようです。
「家を買う」に落ち着くワケ
「家を持ちたい」と考えるようになるのは、子育て世代や、これから子どもをもうけて新しい家族を作りたいと考える若い世代が中心です。テレビで聞いたメーカーさんに頼んでみたり、住宅展示場に行ってみたり、建売住宅を見に行ったりして、そしてローンの説明を聞いたりして……。そうやって予算との折り合いをつけて、納得できたら「できた家」を買うのが主流のようです。もちろん、「家を買う」のは、悪いことではありません。いろいろ調べて、研究して、決断されたのだと思います。しかし、家というのは、ほとんどの方にとって「一生に一度の買い物」です。なぜ、「建てる」ではなく「買う」という決断を下される方が多いのでしょうか。
それはきっと、「予算」の関係でしょう。
「家を持とう」と考える方の多くは、子育て世代など若い方です。子どもを産む前、子どもが生まれて一段落したあたりの方ですね。現在では、家を建てようと思うと、住宅ローンの問題は切っても切れません。だいたい25年~30年くらいを設定されるのが普通です。すると、一家の大黒柱も若いうちでないと……、となります。仮に定年を60歳とすると、30歳~40歳までに決断しなければならない!となってしまいます。
さて、自分の家、マイホームを持つぞ!となると、一気に夢は広がります。理想の我が家は、どんな風でしょう。「理想」「希望」「夢」次々に浮かんできます。理想的なのは、木造住宅かしら、鉄筋コンクリートかしら……。耐震性、耐久性といった、構造や建材のことも気になります。せっかくならば、注文住宅やオーダーハウスも憧れる……。でも、そんな希望の前に、「予算」という現実が立ちはだかるのです!
そんなとき、新聞に折り込まれてくるチラシやテレビ、インターネットなどを見ると、パック商品になった手の届きやすい価格帯の建売住宅の情報が載っています。予算と理想の折り合いをつけた結果、こうした選択肢に落ち着かざるを得ないというのが現実でしょうか。こうした建売住宅の説明書きには、実際の家の構造や設備など、いろんな情報が載っているので、見るほうとしては、「これなら、自分の希望を満たせそうだ」と思えてしまうのです。これが、「家を買う」の現実なのだと思います。そうです……、こだわるには、お金が掛かるのです……。
結局、家は「買う」しかないのか。~トータルで考えてみる~
しかし、予算という現実の前で、本当に、家は「買う」しかないのでしょうか。住宅は、車やその他の製品のように「まずは買って、壊れたら、そのときに考えれば良い」という風に購入したらどうなるでしょうか。「家を買う」というのは、土地の上に乗った建物を買うということです。家や土地というのは、動かすことができない財産ということで、まさしく「不動産」です。「買い替え」といっても、自分たちが別の場所に移り住むか、資金を作って建て替えるしか、方法がないのです。トラブルがあっても、購入した住宅メーカーさんや専門の業者さんに相談して、対応してもらうしかありません。車のように、車検を機に買い替えるということは、簡単にはできません。家族みんなの未来と幸せ、自分の老後を乗せる大切なもの、それが「家」なのです! 最低30年は買い換えることができない「買い物」です。
そのように考えると、「建てるときに支払う金額(初期費用)」のみならず、30年間のランニングコストを含めてトータルで考えてみる必要があるでしょう。
少し前、「シックハウス症候群」が話題になりましたね。ホルムアルデヒドやハウスダストによる「健康被害」に苦しめられる方がいらして……。医療費や住宅ローンとの板挟みになって、リフォームをあきらめざるを得ない方もいたそうです。自分のみならまだしも、大切な我が子まで苦しんだら……と思うと、辛くなってしまいます。
「欠陥住宅だったので補修したが、保証期間後だったので補償を受けられずに、言いくるめられてしまった……」「住宅メーカーが倒産してしまったので、修理などの相談に乗ってもらえない」「担当者が退職してしまい、なにを聞いてもたらいまわしにされてしまう」など、一生に一度の買い物なのに、購入後に困ってしまうケースもあります。こうしたことは稀な話かもしれませんが、聞かない話でもないのです。実際、住んでみないとわからないことは、たくさんあります。初期費用を抑えても、結果として、莫大な修繕費が掛かるのでは、元も子もないですよね。こうした「家にかかるランニングコスト」を総合して考えてみる必要があるのではないでしょうか。
「できあがった家」を買う場合、買った家の中身を見ることは、なかなかできません。しかし、「建てる家」はどうでしょう。工事中の我が家を見ることができます。建てている途中なら、施主さんも構造を実際に見ることができます。工事の様子や、携わった職人さんの顔も見ることができます。なんだか、安心ですよね。建てる過程も知っている家は、住宅購入前にも、30年後の様子を想像しやすくなります。きちんと30年間にかかるだろうランニング費用も予想して、コストを考えられるので、「本当に理想の家を建てる」ことに近づけるかもしれません。
だからこそ、もっと「家」や「建築」について知ろう
だから、本当に理想の家を建ててほしいからこそ、「家を買う人、建てる人」には、もっと勉強してほしいと思います。「家」や「建築」について知ってほしい。
例えば、僕のような大工が建てる和風建築、日本家屋、木造住宅も知らなければ「選択肢」のなかにさえ、入りません。なんとなくテレビで聞いたことのある大手メーカーさんに問い合わせたり、住宅展示場を見回ったりして、そこで決めてしまうということもあるでしょう。知らないものからは、選ぶことができないのですから……。でも、家はご自身がこれから毎日暮らす場所なのです。本当にベストな選択と思える選択をしたいですよね。そのためには、多くの選択肢を知ること、勉強することが必要になるのです。
よく勉強しないまま「買う」のと、多くの選択肢があることや、その違いを勉強して、選んで「建てる」のとでは、絶対に、手に入れられる「家」が違ってきます。そして、その後の人生が、まったく違ったものになるに間違いありません。
昔は、家を建てるのに、何年も何年も勉強したものでした。なんと、柱を一年に一本ずつ集めるような方さえいました! 住宅ローンも豊富ではなかったので、コツコツお金を貯めてから買うのが一般的でした。そのため、時間を掛けて、家のことを勉強できたのです。昨今では、若いうちに家を建てる人が増えたので、じっくり家のことを勉強する時間がないうちに、家を買う判断をしなければならない、と言えるかもしれません。
しかし、家を建てる前に、数年でも十分です。本当に納得の家を建てたいのでしたら、基礎工事のこと、建築方法のこと、素材のことなど、いろいろと勉強してみることを強くお勧めします。きっと、本当に心地の良い家、建ててよかったと思える家が建てられます。
じっくり勉強して家を建てたくなったら、ながら・加藤建築にご相談ください
~ご相談・お見積もり無料~
ながら・加藤建築では、ご希望に対するリスクもコストも事前に説明し、施主様と共に家を建てていきます。引き渡し後も一生涯のアフターフォローをお約束します。年一度の訪問、壁の塗り替え時期のアドバイスから手配、その他家にまつわる諸事はすべてバックアップ。選択肢はここにもあるのです。ご相談、お待ちしております。