【ながら加藤建築】木を寝かせる

材木を乾燥させるために置いておくことを、「木を寝かせる」といいます。

寝かせるのは、含水率をしっかり下げるため。なぜ、含水率を下げる必要があるかというと、含水率を下げることで、その子(木)の癖が出てくるからです。その木の性格をしっかり見極め、適材適所に使うためです。

木は生き物なので、根っこから水を吸い上げていて、水分を含んでいます。切ったばかりの木は、まだまだたっぷりと水分を含んでいます。それを、寝かせて乾かしていくうちに、木の性格が出てきます。寝かせることで、性格をはっきりとさせ、適材適所が見極められるのですね。

材木屋さんで、木材を何年も何年も寝かせておくということは、なかなかできません。大工も同じくです。材木を寝かせておくには、かなりのスペースが必要になるからです。

ながら・加藤建築では、しっかり寝かせた木を使っています

しかし、ながら・加藤建築では、安心して家を建てたいので、たくさんの木材をいつも寝かせています。寝かせている木には、15年になる子もいます。

【ながら加藤建築】木を寝かせる

「寝る子は育つ」と言いますが、家になる前には、「しっかりと寝かすこと」が重要です。

数年ほど寝かせると、通し柱として使えない子(木)も出てきます。製材にかけると、一度はまっすぐにすることができます。しかし、含水率が落ちるにしたがって、再び、ねじれが出てくるのです。

【ながら加藤建築】木を寝かせる

最初は6寸(約18cm)だったものでも、含水率が下がるにしたがって曲がってしまうと、再度、製材にかけなくてはなりません。そうすると、6寸だったものが、5寸(約15cm)となり、その後にも曲がりが出て再び製材を行うと、またまた細くなり……。そうなると、通し柱には使えません。別の場所に使うことになります。

ねじれている子(木)は、支え合う所に持っていくしかありません。周りのみんながそれを、支えなければならないのです。ねじれそうになるのを、周りから支えてもらい、我慢してもらうしかないのですね。

最初は、どの子もみんな普通に四角い材木で、同じに見えるのですが……。寝かせておくと、ねじれる子は、すぐにねじれていくのが分かります。

それぞれの木の良さを活かして、家を建てるということ

ねじれる木は、ダメな子か?というと、そうではありません!

【ながら加藤建築】木を寝かせる

ねじれていても、実はイケメン! どんな木でも家になります。今まで一番、ねじれがひどかった子(木)は、7寸角(約21cm)のもので、1寸(3cm)ほども、ねじれました。最初に製材をかけたときには、わからなかったのですが ちょっと穴が空いていました。そこで半分に切ってみると、ものすごく固かったのです。固くて、固くて! そして、なんと、中に腐りが入っていました。

まだ若いうちに雷か何かが落ちたようでした。太い枝が折れてしまったようだということがわかりました。ねじれている子(木)は短い管柱ぐらいにしか使えません。しかし、その子は、管柱にすら、使うのが難しそうです。このときは、本当に悩みました。どんな子(木)でも、かわいいので、うまく使ってあげたいけれど、これは、難しい!

でも、そういう子(木)に限って、顔はいいのですよ。色白で、見た目がきれい。イケメン!って言うのでしょうか(笑)。

ちょっとねじれているけれど、色白できれいなイケメンの柱が、家の奥の隅の短い柱になっていること、実は、あるのですね。ちょっと気にして見みてください。イケメンに会えるかもしれませんよ。

「適材適所、気長にみて収める」それが棟梁の技量だと思っています。どの子もゆっくり寝かせることで適材適所に。ながら・加藤建築では、気長に、その子(木)を見て、性格を見ているので、自信を持って組み上げることができます。かなり曲がっている長い柱でも、この子(木)が活躍できるところはどこだろうかと、じっくり見極めているからこそです。

「家を一軒建てるには、山ごと買え」

「家を一軒建てるには、山ごと買え」という名言をご存じですか。法隆寺の鬼と呼ばれた、宮大工棟梁の西岡常一氏の言葉です。もし、山ごと買えたなら、南で育った子は、南で、北で育った子は、北で使うといったように、育った通りの配置にすれば、それぞれの特長を活かせると言うことです。まさに、適材適所の考え方ですね。

今日、「山を丸ごと買う」というのは、ちょっと難しそうですが(笑)、もしそんなことができたら、どんな家を建てることができるでしょうか。そして、山ごと買った木を、しっかりと寝かせてから使うことができたら、なんと丈夫で安心な家を建てることができるのでしょうか。想像すると、ワクワクしますね。

ながら・加藤建築では、「山ごと木を仕入れてくる」のは難しくても、じっくりと寝かせて性格を見極めた木を使っています。適材適所で、丈夫で安心な家を建てるための努力です。